民法改正

清澤司法書士事務所、事務員の大石です。

民法に含まれる相続に関する規定(相続法)の改正案が、2018年7月に成立しました。

この相続法に関する規定は40年ぶりの見直しです。

また、2017年には民法に含まれる債権に関する規定(債権法)の改正も成立しており、こちらは2020年4月1日に施行になります。

「民法の大改正」ともよばれている、

今回の改正ではどんな理由から見直しがおこなわれたのでしょうか?

この改正について、詳しい内容は管轄である法務省のWeb ページに公表されています。

法務省の公表内容によると、下記の時代背景を理由として改正が行われたようです。

  1. 取引の複雑高度化
  2. 高齢化
  3. 情報化社会の進展

それでは今回の民法改正は、どんなことが、いつから変更になるのでしょうか?

民法の分類と併せてポイントを整理します。

民法改正ではどんなことが変更になるか

今回の民法改正では2分野が改正されます。

民法は、削除された条文を除くと1044条もの条文で成り立っており、他法律(憲法や刑法)に比べてボリュームのある法律です。

例えば憲法は全部で103条、刑法は全部で264条。この1044条の条文を合わせて民法と呼びますが、便宜上、分野別で下記2つに分けて呼ぶことがあります。

民法…財産法と家族法

また財産法と家族法はそれぞれ2つに分けて呼ばれます。

  • 財産法…物権法と債権法
  • 家族法…親族法と相続法

そして、今回の民法改正では「相続法」と「債権法」の2分野が変更になります。

相続法については40年、債権法については1896年の民法制定以来、約120年ぶりの改正となります。

詳しい変更内容については法務省のWeb ページを参考にしてほしいのですが、ポイントとなる部分は下記になります。

  • 相続法における改正概要
    • 配偶者の居住権を保護するための方策
    • 遺産分割等に関する見直し
    • 遺言制度に関する見直し
    • 遺留分制度に関する見直し
    • 相続の効力等に関する見直し
    • 相続人以外の者の貢献を考慮するための方策
  • 債権法における改正概要
    • 時効期間の判断を容易化
    • 法定利率についての不公平感の是正
    • 安易に保証人となることによる被害の発生防止
    • 取引の安定化・円滑化
    • 判断能力のない意思表示の効力の変更
    • 譲渡担保設定が可能であることの明記
    • 賃貸借契約において敷金返還や原状回復に関するルールの明記

民法改正、いつから変更になるか

親族法の施行日は未定ですが、債権法の施行日は決定してます。

法律の改正では、成立した時から効果が生じるというはなく。原則、国が定める施行日より効果が生じることになります。

実質的な変更は施行日からという捉え方がわかり易いと思います。

下記は法律改正手続きの手順です。

  1. 法律案の作成
  2. 内閣法制局による審査
  3. 閣議決定
  4. 国会による審議
  5. 国会で可決→この時点で法律として成立
  6. 公布
  7. 施行

そして、今回の改正において各分野の進捗(2018年10月26日現在)は、相続法は2018年7月に公布。施行日は未定。

債権法は2017年5月に公布。施行日は2020年4月1日となってます。

相続法については2019年7月までに施行予定のようです。

以上、民法改正のポイント整理でした。

変更点の中には、賃貸借契約に係る敷金の明文化など、実生活で触れる機会がある部分が沢山あります。

この機会に私たちを取り巻く民法のルールを再確認してみるのもいいですね。

さらに具体的な改正ポイントはブログに順次アップしていく予定です。

ぜひ参考にしてくださいませ。